すずめの戸締まりは結論から言えば人を選ぶ映画
君の名はや天気の子のように万人ウケはしないでしょう。
また、君の名はの新海監督が好きという人には微妙かもしれない。
すずめの戸締まりネタバレ感想
2022年、11月11日の公開日に早速見てきました『すずめの戸締まり』!
新海監督のアニメ映画は全部見ているんですが、超期待して見に行った。だって新海誠監督の最高傑作と謳っていましたから。
しかし結果はハードルを高く上げすぎた感じ。
面白いけど「最高傑作」ではないなと
ネタバレを含みながら感想を書いていきます。すずめの戸締まりをこれから見ようかどうか迷っている方は参考にしてみてください。
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すずめの戸締まりは人を選ぶ映画
すずめの戸締まりはシリアスな世界観です
バッドエンドではなくハッピーエンドですが、それでも見終わった後にモヤっとするかもしれない。
「2人の感情は恋愛だったのか?」
「すずめは草太のことが人として好きだったのか?」
「ダイジンがキャラとして中途半端じゃないかな・・・」
など、気になる人には気になるかもしれない。
万人ウケはしない
すずめの戸締まりは災害、主に地震を軸にしたストーリーです
そしてそれは3.11の津波・地震へとつながります。これらの設定のため娯楽として見るのは難しいです。だって3.11はフィクションじゃなくて現実ですから。
また、3.11を経験していない世代にはピンとこない場面もあるでしょう。そして、人によっては例えアニメでも地震を見たくない方もいるかもしれません。
特に君の名はや天気の子きっかけで新海監督を知ったファンに、今回の映画は合わない。見て楽しむ娯楽映画というよりはシリアスな展開を見守る作品なので、すずめの戸締まりは玄人向けと言えるかもしれません。
ちなみにグローバルで考えても外国人には分かりにくいかもしれません
僕の友人に日本が好きな外国人がいます。君の名はも知っています。日本で暮らして日本語を話せて、日本で働いています。しかしそんな彼らに3.11と言っても「なんのこと?」という感じ。残念ですが外国人は日本人が思っているほど、東日本大震災のことを日付で認知していないように感じます。
日本人だからピンとくるネタもありますから、外国人からすると解説が必要な映画でしょうね。
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泣けるかは微妙
君の名はや天気の子はシンプルに泣ける映画だと思います
僕は小説版も読みましたが君の名はに関しては小説ですら泣きました。
しかし今回のすずめの戸締まりは泣きませんでした。泣きそうにはなれましたけどね。どうしてもすずめと草太の時間を深堀りする時間が足りないので、すずめの気持ちと視聴者にずれがあるような気がしました。
すずめと草太に感情移入できる人は泣けるかもしれません。まあ、そもそも泣ける映画作ろうと思ってはいないでしょうから、泣けるかどうかを目的で見るのは止めた方が良いです。
君の名はと天気の子とは違う
すずめの戸締まりは新海監督作品の中では昔の作品に近い作風です。つまり天気の子、君の名はのように新海監督の存在が一般的になったきっかけの作品たちとは、毛色が異なります。
そもそも新海監督のアニメ映画は元々、シリアスで救いがないバッドエンドに近い物語ばかりでした。それゆえに君の名は以前はオタクにしか認知されていなかったでしょう。
今回のすずめの戸締まりは設定からしてシリアス色が強いので、君の名はや天気の子と同じ気持ちで見てはいけません。それでも流石にエンディングはハッピーエンドですから、昔の作風とのハイブリッドとも言えますね。
音楽と映像のシンクロも少ない
君の名はや天気の子では盛り上がる場面でRADWIMPSの音楽が流れて、熱くなりますよね。すずめの戸締まりはそれが足りないです。
君の名はも天気の子も劇中でRADの曲がキャラを後押しするから感動するんですよね。しかしすずめの戸締まりは別の方やアーティストも楽曲に関わっているので、2作品のような音楽と映像で魅せる勢いは弱いように感じます。
ただ、様々な楽曲が劇中に登場するのでそれは小ネタとして楽しめます。
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すずめの戸締まりの面白かった点
すずめの戸締まりにもちゃんと面白いと感じる要素はあったので、今度はそちらを書いていきます。
まずは何と言ってもユニークな設定が面白いです
すずめの戸締まりは設定が面白い
地震ってどういうメカニズムで起こると思います?
そうですね、地面から現れたミミズが空に昇って落ちた時の衝撃で揺れますよね!
とまあ、こんな感じに地震に対する設定や廃墟に厄災を呼ぶ戸が出現するなど、なかなかユニークで面白いです。
本当にありそうだなって思わせてくれる設定たちで、月刊ムーとか好きな人はワクワクします
すずめと人々の交流
ダイジンを追いかけながら各地で戸締まりを行うすずめは、日本を旅することになります。その途中で色んな人と出会います。その人々との交流は見ていて面白いです。
いろんなキャラが出ることはもちろんですが、すずめが強く成長していく様子を短期間で感じられて良いですね。
草太との関係も徐々に変化していきますが、笑えるところもありましたww
また、いわゆる方言や街並みも忠実なのでそういった舞台を見る面白さもあります。
強い女性キャラたち
日本のアニメは女性キャラに萌えという名の露出を求めている気がします。しかし今作の女性キャラは良い意味で等身大の女性たちです。野郎同様に泥臭く前を向いて生きているんです。
ジブリの女性キャラ(ナウシカ、サン、千尋)はまさにそんな感じですが、主人公のすずめを筆頭に日々懸命に生きる様子がかっこよくて僕は好きです。
すずめと環(すずめの叔母)が本音でぶつかる場面があるんですけど、「え、そんなストレートに言うんだ・・・」と、見応えはありました。
すずめの戸締まりは新海監督にとっての最高傑作
新海監督の最高傑作は間違いなく君の名はです。国内でも世界でも流行りました。
次いで天気の子かと
しかし新海監督はすずめの戸締まりのような作品をずっと作りたかったんじゃないかと、感じています。というのも監督が昔作った『星を追う子供』という映画に、なんとなくすずめの戸締まり感想は雰囲気が似ています。
星を追う子供のリベンジ作品!?
星を追う子供はあまり評判がよくなく、ジブリっぽいものという評価です。だからいつか自分の色を出した上で、似たようなジャンルの作品で新海監督はリベンジしたかったのではないかと思います。
そして今回、すずめの戸締まりという自分の満足のいくアニメ映画ができた。今作を『最高傑作』と題しているのはその為じゃないでしょうか。言うならば新海監督にとっての最高傑作です。
君の名はや天気の子のように見ているだけで楽しめる商業な作品もいいですが、見た人に何か感じてほしい。考えてほしい。そんな映画をこれからも新海監督は追い求めるんじゃないでしょうか。
ちなみに個人的には『ほしのこえ』が新海監督の最高傑作です
だからシリアス好きな僕は今回のすずめの戸締まりも、そこそこ楽しめました。
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