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黒田ゼルビアがJリーグに植え付ける「新しい文化」 町田ゼルビアのサッカーから日本代表が強化される!?

町田ゼルビア

アオキ

ライター・作家として活動中。当サイトでは個人の感想や見解などを書いています。

ゼルビアと私の出会い

小学生の時、町田から横浜へ転校すると同時にサッカーを始めた。サッカーへ興味を持ち、自然と地元のマリノスに憧れた。高校進学で町田へ戻ったが、心のクラブはマリノスのままだった。

しかし2018年、ゼルビアが自分にとって1番のクラブになる転機が訪れた。相馬ゼルビアが4位になったのである。

その躍進の途中では野津田まで行き、初めて生でゼルビアを観戦した。アシスト王になった平戸を筆頭に見ていてわくわくした。

それ以来、私はFC町田ゼルビアを心のクラブとして1番に応援している。2番目は「その時、勝ちに値するサッカーをしたチーム」。

※この記事はnoteで公開して好評だった記事を再投稿したものです。2023.3/29時点での情報・内容になります

黒田ゼルビアがJリーグに植え付ける「新しい文化」

さて、今シーズンのゼルビアだがポポゼルビアと違い、勝利を期待できる。後半にも期待できる。

なぜ強いのか、それはフルですべて見ていればわかるが『時間の使い方が徹底』しているのだ。

特に先制後のゼルビアは以下のようにマリーシアを発揮する。

  • セットプレーでの時間稼ぎ
  • フラッグ近くでのキープ
  • 相手エリアで無理にクロスやシュートを打たず、もう一度後ろから組み立てる(ポゼッション)

そのマリーシアこそ、黒田ゼルビアがJリーグに植え付ける新しい文化として期待したい。

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マリーシアがあれば日本代表はロストフで劇的な敗北はなかった

ロストフで負けた後、NHKのドキュメンタリーを見た。デブルイネなどベルギーの選手と日本代表選手双方にインタビューをしてあの14秒を深掘りした番組だ(めちゃくちゃ豪華な番組だった)。

そこで日本代表は延長戦を戦う与力はなかったと、選手の口から語られていた。だから最後のコーナーで勝負に出て負けた・・・でも、それでいいのだろうか。そんな戦い方でベスト8へいけるのだろうか。

勝者のメンタリティを持つ黒田監督やそのチームなら同じ場面で、どのようにするだろう。1発勝負に長けている監督だ。おそらくそんなギャンブルはしないのではないか?

先日のいわき戦で黒田監督は「点が取れなくてもじれない」と言っていた。無失点ならそれでいいのだと。点が取れれば万々歳。黒田監督の守備への意識はとても強い。攻撃よりとにかく守備なのだ。

だから黒田監督なら、ロストフでは時計の針を進めてPKを目指しつつ、延長の中で1点を狙う──だろう。当時の世界最高チームの1つであるベルギーを相手にするのだから、PKまで運べれば上出来だろう。

そう、時計を進める。時間を使うというマリーシアが日本代表には足りていない。綺麗なサッカーかもしれないが、勝ちにこだわるならずる賢さも磨かないといけないだろう。

そのマリーシアはどこから植え付けられるのか──Jリーグだ。Jリーグで時間を使うのが当たり前にならないといけない。極論、すべてのチームが南米や強豪国のような時間の使い方をすればいい。

今ではドリブルで仕掛ける選手が当たり前になったように、日本でもそういうずる賢さが当たり前にならないといけない

かつてJリーグになかった『デュエル』を植え付けたハリルホジッチ監督のように、黒田監督・ゼルビアが『マリーシア』を流行らせてほしい。

見ているサポーターがずるいとかせこいとか、思わなくなるまで当たり前になれば、その時日本サッカーはまた一歩世界へ近づくだろう。

いつまでも先制して負ける日本代表

クロアチア戦然り、第二次森保ジャパン初陣のコロンビア戦然り、日本は先制した試合の方が苦手にしていそうだ。

つまりゲームの運び方、時計の進ませ方が下手なのだ。森保監督の手腕が問われるが、当の本人がドーハでは選手として悲劇を経験している。あの時から日本はリードを守るのが苦手らしい。

だが黒田ゼルビアは違う。いわき戦までで6試合1失点。とにかく失点しないこと。負けないことに重きを置いている。

ここではJ2のレベルがどうのとかはどうでもいい。大事なのは「日本代表もそういう戦い方をしているかどうか」ということ。

黒田監督はたとえ3点のリードがあっても無失点にこだわる。途中交代ではまるで野球のクローザーのように、最後はCBが投入されているゲームもある。ゲームを無失点で締めにかかるという意図が見ている全員にわかる。チームにも伝わる。たとえ10点とっていても、黒田剛の無失点へのこだわりは変わらないだろう。

J1のチームも日本代表もとにかく失点しない。前半を0で終える。1失点を10点分に捉える。そういう戦い方を目指さないといつまでも、○○の悲劇を繰り返すことになりそうだ。

町田ゼルビアのサッカーから日本代表が強化される!?

かつてハリルがメンバー選考で『デュエル』を重視した結果、Jリーグ内でも仕掛ける選手が増えて来た。そして今では、三笘を筆頭に個で打破できる攻撃陣が揃っている。遠藤なんてドイツのデュエル王だ。

ハリルが植え付けた新しい文化が、日本代表の強化に貢献したのは間違いない。それと同じようにゼルビアがJ1で旋風を巻き起こせば、日本サッカーに『マリーシア』『勝者のメンタリティ』が根付いて数年後の代表の強化に繋がるかもしれない。

そう、つまり日本サッカーはFC町田ゼルビアにかかっている──かもしれない!?

マリーシアはすでに文化になっている?

いいや、なっていない。正確にはまだまだ足りない。

極論をいえばすべてのチームがリードしているときに時計の針を進める戦い方をして、初めて文化になると思う。

一方デュエルが文化になったと言えるのは、一昔前じゃファールかと思うプレーでも笛がならなくなったからだ。前へ仕掛ける姿勢も以前とは違う。僕が子供のときは外国人しかドリブルで勝負しないと感じていたが、今やそんなことを思うサッカー少年はいないだろう。

だから「時間稼ぎするな!」「すぐ倒れるな!」そんなことを言ってるサポーターがいる限り、まだまだJリーグにはマリーシアが足りない。

「そうだよね~。勝ってるから時間を進めるよね~」と、見ている側が進歩したらその時はマリーシアが文化になっているだろう。

新しい文化が根付いたとき、日本代表は新しい景色を見れているはずだ。

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