黒田ゼルビアの弱点が見えた徳島戦
清水に劇的勝利したFC町田ゼルビア。
相性の悪い徳島にも勝てるんじゃないかという期待があった。メンバーもスタッフも、そして雰囲気もこれまでとは比較にならないほど良いからだ。
しかしジンクスを破るのはこんなに難しいのかと・・・。
でも、ジンクスで負けたんじゃない。負けに不思議の負けなしだ。
ここまで素晴らしい采配をしてきた黒田監督のパニック采配、選手交代で自滅したと僕は90分を見て感じている。
柿谷曜一朗が主役になる素晴らしいプレーをしたけど、11人の前半はそれほど脅威ではなかった。サイドに流れたら良いボールを出してはいたけど、中央だとむしろボールの狩りどころ。翁長にもフィジカルで負けていたからね。
人数が減ったことはもちろんだが、必要以上に数的有利になる余裕を与えたから、徳島にも余裕が出て柿谷もテクニックを披露できたんだと思っている。
退場したのは平河1人なのにまるで2人3人くらい差があるように感じた。
黒田監督の緊急時の交代策がゼルビアの弱点かもしれない。
前回のゼルビア記事
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黒田監督のパニック采配
平河が退場した後半19分の交代が徳島戦の一番の敗因だと思っている。
エリキとデュークを同時に下げたことだ。
このとき入った藤尾や沼田は関係ない。誰が入るかではなく、町田の前線2枚をあのタイミングで同時に下げたことが悪手だった。
なぜか、徳島からすると怖さがなくなったからだ。
「あの外国人2人がいない。これで心地よく攻められる」数的有利も相まってそう感じただろう。
エリキは後10分残しておくべきだった
僕の提案は以下の通りだ。
- 平河退場直後に選手交代はしない
- エリキと荒木をサイドに置く
- デュークをワントップに置く
こうすればまだカウンターで点を取れる形を維持できたし、数的不利でも相手に心理的プレッシャーをかけられる。
なにしろエリキやデュークを1人で止めるのは難しいからね。数的不利でも部分的に数的有利になる形をつくれた。
もっといえば守備力も交代して入って来た2人より上だろう。
とはいえ、黒田監督の狙いもわかる。自陣に引いて1点を守り切ろうということだ。
でも後半は半分以上あった。せめて後10分は僕の提案した布陣で挑むべきだったんじゃないか。
実際、下げられたエリキは「なぜ俺をもう下げるんだ?」と言わんばかりに両手を広げながらベンチに戻っていた。
黒田監督の賭けは理解できるが、いるだけで相手のDFが気を配るような選手を数的不利の1点差で下げるのは、ちょっと勝ち急ぎ過ぎた気がする。
それこそパニックになっていたんじゃないか。
前節に池田が負傷で去った後の交代が遅れたことで失点したが、あれが頭にあったから急いだのかもしれない。(あれは藤原の準備も遅かったそうだが)
ちょっと黒田さんらしくないと感じる後半19分での交代だった。
デュークを藤尾にするならまだしも、エリキは後10分は残しておくべきだっただろう。
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経験豊富な選手を下げて若手を入れる交代ミス
後に太田や深津が入ったけど、これはエリキ・デュークを下げて沼田と藤尾を入れたことに対して指摘している。
エリキもデュークも様々な舞台で試合をしている。どちらも途中で数的不利になる場面をなんどか経験したことがあるだろう。
そういった経験面を考えても、あの2人を下げたことはやはり交代ミスだったような気がしてならない。
そもそも10分は下げずに出し続けるべきだったというのが僕の意見だが、仮にあそこで2人を下げるなら入れるのは深津と中島だった。
そう、経験豊富な2人だ。
その場合は、ワントップに中島(荒木)。サイドに翁長・荒木(中島)だ。そして藤原を翁長のところに入れて深津をCBで使う。
これなら攻守どちらも行うというメッセージ性のある交代だし、守備的には強度があがっている。ベテランを入れることで気を引き締めてほしいという意図もある。
藤尾と沼田が悪いというわけではないが、あの場面に攻撃の2人を入れたわりにやったことは引いて守るという戦術だ。真逆のことをしている。
そのあたりのメッセージ性もミスだったから、中途半端な守備になったんじゃないだろうか。
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最悪なタイミングでの深津投入
コーナーキックの前に入れたのが最悪だった。
おそらく黒田監督としては「ちょうどコーナーだし、高さのある深津をこのタイミングで入れよう」と思ったのだろう。
もちろん選手交代は前もって準備してるから、あのタイミングで入れようと思って呼んだわけではないはず。すでに準備していて、あのタイミングを選んだんだ。
だが、入れるならコーナーが終わってからにすべきだった。
コーナーキックの直前に守る側が選手を変えるのは失点のリスクが高まる。これは岡ちゃん。岡田監督がとある試合の解説で言っていた。
そのチームもコーナーキックの場面になって守備的にしようと選手を変えたのだが、岡ちゃんは「コーナーのときにね~。新しい選手が入るのはあんまりよくない。やっぱりついていけませんし、それまでのマークも変わるわけでね」そんなことを言った直後、そのチームも失点した。
ゼルビアもマークの確認がダメだった。
ニアからショートコーナーをもらいにいった徳島の選手に誰もつかず遅れてきた沼田が対応したが、その沼田がマークしていた選手がフリーになってシュートを打たれた。(藤原がベンチを見ていて?対応が遅れたミスもある)
はじめからショートコーナーを潰しておけば、あのシュートが打たれる位置はもう少し遠かったのではないかと思う。すると誰かがブロックで対応して、柿谷にそらされることもなかったんじゃないかと。(藤原の出だしが早ければあの場面でもブロックできた)
深津を入れたことで中への守備意識が向いたんだろうが荒木がいたままなら、おそらくポジション的にもあのショートコーナーへ対処できたんじゃないかと思う。
沼田は荒木が抜けたことにまだ切り替えができていなくて、自分が本来見ておくべき場所への対応が遅れたように見えた。
仮に深津が入らなくても失点していたなら、その深津を中島にして攻撃的な交代もできただろうし、黒田監督の冷静さが足りなかった気がする。
町田は自滅した
- エリキ・デュークの同時交代
- 投入選手の人選・タイミングミス
- 戦術と投入選手のチグハグ
以上の理由から町田は必要以上に徳島に余裕を与えて、柿谷にものびのびとプレーさせてしまった。
もちろん1失点目の徳島の崩しはうまいし、2失点目も柿谷うますぎるしそこのクオリティはすごかった。チームとしておもしろいサッカーしていたし、なんで徳島が下位にいるか分からなかった。
ただ、11人がいた前半を見ていればいつも通り町田が競り勝ってただろう。複数失点はしなかっただろうと思う。ポープも相変わらず神がかっていたし。
改めて徳島の攻撃は見事だったが、町田の自滅要素があったのは間違いない。
黒田監督の采配が冷静なものだったら違う結果になったんじゃないかって気もする。
ゼルビアは数的不利になった後の戦い方が課題
やはり負けから学ぶ物は多いなと、記事を書いていても感じた。
今回の負けはチームとしても非常に良い勉強になったと思う。
強いチームは1人退場者が出ていても勝ち切る。優勝していたときの川崎とかそうだった。
ちょうど徳島戦と同じ日にやっていたU20の試合でもイスラエルが退場者を出した。さらに先制されていたけど日本代表に逆転勝ちしたし、数的不利を負けの理由にしてはいけない。(てか、数的不利の相手に逆転負けするなよ日本・・・)
問題なのは数的不利になった後の戦い方だ。
一時的に少なくなった清水戦。退場者が出た磐田戦。そして今回の徳島戦。ゼルビアは11人で守るサッカーをしているからか、1人抜けるとバランスが悪くなる。
もちろん名将の黒田監督だから今後の課題として捉えているはず。どう改善していくのか、楽しみにしたい。